LOST RARITIES - 絶滅危惧的録音芸術

岡井大二(ex-四人囃子 & L⇔R(エルアール))の息子の目線から、録音芸術最盛期のプロの仕事が垣間見れるエピソードを読みやすく残すための取材記事群。および個人的趣味レコメン記事(頭数合わせ)。

L⇔Rの隠れた名曲5選 / メロディメーカー黒沢健一の天才ぶりが分かるプレイリスト

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 前回のポストサウンド作りとFACTに振り切って書きましたが、今回はフロントマンの黒沢健一さんがメロディメーカーとしてどれだけ凄かったかが分かる名曲を、L⇔R時代に絞って紹介したいと思います。ほとんど僕個人の主観&独断によるただの感想文ですので、その点はご了承ください。

 

#1 [ 君に虹が降りた ]

"THE 健一くん" ていう感じの都会派ポップス。弔問の席でも「黒沢さんのメロディは本当に都会的だよ」という声があって、僕もほんとそうだなと思っています。この曲はプロデューサーの岡井大二も「健一の真骨頂とも言える名曲スタイル」と表現していました(再発売 『Lost Rarities』 のライナーノーツより)。

 

#2 [ (I Wanna) Be With You ]

岡井大二黒沢健一の才能を見出すきっかけとなった曲。「メロディと声が驚異的」というのが第一印象だったとか。当時まだ10代のデビュー前にソニーヤマハ両方のコンテストにおいてこの曲で入賞していて、ポリスターのスタッフにもこれが好評だったとのこと(詳しくは再発売 『L』『Laugh + Rough』 のライナーノーツ参照)。

ちなみに最近知ったのですが、岡井大二はこの曲に非常に悔いが残っていると。誰もがL⇔R を代表する曲としてこれを挙げるようになるくらいのポテンシャルを持った最高のメロディを、名演・名サウンド・名アレンジ で真の名曲にしてやれなかった、やり直したかったと言ってました。まじか。贅沢な。まあ確かに言われて見れば冗長なところがある…かも。でも僕はこのいつ終わるか分からない感じが、この曲らしくて好きですけど。聴いていて「あー、終わってほしくない」と思う、そんな曲です。

 

#3 [ Northtown Christmas]


これはもう分かりやすくクリスマスな名曲。ぜひ最後のコーラスまで聴ききってほしいです。サウンドプロコル・ハルムとG線上のアリアが混じったような感じで冬いです。今年からぜひクリスマス・ソングの定番に加えてあげてください。『L』『Lost Rarities』収録。

 

#4 [ American Dream ]

これも都会的で非常にお洒落な曲。タイトル・歌詞・サウンドとコンセプトも一貫していて、分かりやすさもあります。改めて広まってほしい。"American" をコンセプトにしたアルバム『Land of Riches』収録。

 

#5 [ Knockin' on Your Door ]

 と、いう流れで改めて聴くと、かの有名曲もなんか違って聴こえてきたりしませんか?しないかな。。

大ヒットアルバム『Let Me Roll It !』は90年代式パワーポップの名盤ですが、初期L⇔Rからソロ作にも通底する健一くんの秀逸な都会派メロディセンスにももっと光が当たってほしいなと個人的には思っておる次第です。

 

ちなみに この曲を「カラオケで上手く歌ってるやつ見たこと無い」とは、親交の深かったシンガー / 俳優 の徳山秀典さんの弁。やっぱプロでもそう思うんですね。いやほんと難しい。きちっとヒット曲として耳に残るように出来てるのに、音は本当に自由に飛び跳ねている感じがします。

 

 2017年3月4日  岡井恒介